私のPCの中にあった「初めてのガンダム講座」という
何年も前に私がまとめた文章がありました。
長いですが、
これを読めば、「にゃっほーーーい!」という気持ちで
ファーストガンダム第一話を観れますので、
是非ともお読みいただきたい。
長いですが、
ここまで簡潔且つ親切に、
第一話目が始まるまでを説明した文章はないと
私、自負しております。
では、どうぞ。
<地球連邦政府と宇宙移民者>
地球の人口が90億人を突破した未来、人類はスペースコロニーと呼ばれる円筒形の人工の大地に移民していった。この年をもって、西暦から宇宙世紀という年の呼び方に変わる。
その前段階の話になるが、地球では各国が連合し「地球連邦」という一つの組織が出来上がるが、各国はまだそれぞれの統治を行い、地球連邦はまだ「政府」ではなかった。が、この宇宙世紀1年をもって、移民した人間を統治する大義を得て、地球連邦は政府となり、移民した人間は地球連邦の「国民」となった。
しかし、この宇宙移民計画自体が、人間だらけの地球から貧困層を厄介払いするために行われたと言っても良く、裕福な人々は相変わらず地球にい続けた。つまり、エリートや上流階級と呼ばれる人間が、宇宙に移民した人間を統治することによってより裕福に、より富を独占するために行われたのが「宇宙移民計画」だったのだ。
スペースコロニーはそれ一基で数百万の人間が暮らせるもので、一つのコロニーを1バンチと数え、40バンチが集まり一つの「サイド」と呼ばれた。宇宙世紀78年までには、ただ一基でサイドと呼ばれるサイド7を含み、7つのサイドが建造される。
<革命家ジオン・ズム・ダイクン>
そんな中、宇宙移民の中に一人の革命家が現れる。それがシャアやセイラの父親、ジオン・ズム・ダイクンである。彼は‥まあ、簡単に言えば、スペースノイド(宇宙に住む人)の地球連邦からの独立を、初めて掲げた人物だった。
その頃の総人口は既に、スペースノイド90億人、アースノイド(地球に住む人)20億人という状況で、人類の大半は宇宙に住み、スペースノイドは月や小惑星から産出する鉱物資源や、コロニー内で生産される農作物で十分に宇宙で自活できる状況だった。
加えてスペースノイドには地球からの移民にかかる旅費として、3代に渡る地球連邦へのローンの返済義務や、税金、参政権の欠如などの、不遇な扱いを受け、地球に住む一握りの階級の人々のために生活しているという不満が爆発していた。
そこにきてスペースノイドの自治を唱えたジオンは、当然スペースノイドに圧倒的支持を受ける事になる。
彼は宇宙世紀58年、月の裏側にあり、地球から最も離れたコロニーが集まるサイド3にて、ついに地球連邦からの独立を宣言し、ジオン共和国を設立する。しかしそんな状況を地球連邦は認めるはずもなく、過酷な経済弾圧を加える事になる。
泥沼化していく地球連邦政府対ジオン共和国の外交状況の中、あくまで平和利に独立を進めていたジオン・ズム・ダイクンに対し、ジオン共和国内でも反発する勢力が現れる。それがジオンと共に革命を進めてきた、デギン・ソド・ザビの一党だった。
彼らはもはや武力によってでしか独立は勝ち得ないと主張し、ついにはジオンを暗殺。ジオン共和国を樹立してから11年後の宇宙世紀69年、デギンを終身公王とするジオン公国を立ち上げる。
(ジオン暗殺については、あくまで仮説だという意見で通っているが、放送が打ち切られなかった場合のストーリーとして、デギンが暗殺を認めるというシーンが用意されていたという事実から、確定していたとみなしていいだろう)
そうして、サイド3はジオンを首相としたジオン共和国から、ザビ家による独裁政治がなされるジオン公国となった。
<ミノフスキー粒子の発見とモビルスーツの開発>
急速に国内を軍事化していくジオン公国。とは言っても、所詮7つあるサイドの内の一つのコロニー群にすぎないサイド3の住民のする事だ。国力や人口という点で、まともに闘っても地球連邦軍に勝てる訳もない。(単純な国力という点ではジオン公国は地球連邦のそれに対し、30分の1以下だった)
しかしここで、画期的な発見がなされる。それが、発見した博士の名がつけられた「ミノフスキー粒子」だった。
これは様々な効果のある粒子で、その代表的なものに
「レーダーや電波通信などの全ての電波兵器を無効化する」
という特性があった。
この粒子がまかれた宇宙空間では、レーダーも使えない、通信もできないという状況が生まれる。そうなれば数で圧倒的に不利なジオン公国にも戦い様がある。
加えてジオン公国は地球連邦には秘密裏に「モビルスーツ」なる機動兵器も開発していた。これはミノフスキー粒子散布化における宇宙空間での戦闘を目的とした有人兵器だった。
それまでの宇宙空間での戦いとは、レーダーで目的を捉え、艦隊による砲撃により敵を殲滅するといったもの以外なかったのだが、そのレーダーが無効化されたとなれば、あとは直接目で敵を確認し攻撃するしかない。しかも通信が遮断されたとなれば、艦隊が連携して戦う事はできず、一隻一隻が独自に敵を叩いていくしかない。
もちろんこれはミノフスキー粒子を散布したジオンの艦隊も同じ条件で戦うしかなくなり、数の不利を解消する手段にはならない。
が、ある事に気付く。それは
「戦艦自体を大破させなくても、艦長や操縦士が集まるメインブリッジや、艦の動力部を破壊すれば事足りるじゃん」
という事。
となれば、より小さい範囲を攻撃できる兵器が必要になってくる。しかし、戦艦クラスの兵器では、そんなに小さな目標に砲撃を与える事は至難の業だし、そもそもこちらの散布したミノフスキー粒子のせいで、自軍のレーダーだって使えない。そこでジオンは考えた。
「だったらこっちも艦隊での攻撃は諦めて、別働隊に攻撃してもらおう。それもピンポイントで敵艦の要所要所を攻撃できる小さいヤツに。そしたら敵の砲撃だって当たり辛いしさ。ミノフスキー粒子のせいで遠隔操作はできないから人に乗り込んでもらって。そいつらに一つ一つ敵艦を潰していってもらうのさ!」
この様に、戦艦より小廻りが効く小さい機動兵器で、敵艦の周りをブンブンと蜂の様に飛び交い、砲撃をかわしながら攻撃を与え、また別の敵艦へ向かっていくという、ヒット&アウェイ戦法を繰り返していけばいいという考えが生まれる。しかも人間の様に手足があれば、様々な武器を臨機応変に使用できる。弾が無くなりゃ斧で攻撃、それもダメならパンチだキックだと、あくまで敵艦の重要な箇所だけ攻撃すればいい事に気付いた結果が「モビルスーツ」の開発だった。
そしてついにそのモビルスーツ「ザク」を完成させたジオン公国は、全ての準備を整え、宇宙世紀79年1月3日、地球連邦政府に宣戦を布告、独立戦争を仕掛けたのだった。この日から80年1月1日の終戦までを「一年戦争」と言う。
<一週間戦争におけるブリティッシュ作戦>
ジオン公国はまず奇襲という形で戦いを仕掛けた。連邦軍の拠点であるサイド1・2・4のコロニーに毒ガスを注入するわ、核兵器で破壊するわと、連邦から解放するはずのスペースノイドをも巻き込んでの大虐殺を行う。
その頃のジオン公国の実権はもはやデギン公王ではなく、長男のギレン・ザビ総帥が握っていた。彼は極端な持論の持ち主で、全ての人類はジオン公国によって管理運営されるべきと掲げ、連邦に加担する者は、例えスペースノイドであっても容赦しないという考えだった。
その考えのもと、空前絶後の作戦が行われる。それが「コロニー落とし」と呼ばれる「ブリティッシュ作戦」だ。
スペースコロニーを地球に落とすというもので、目標は地球連邦軍の中枢である地下要塞、ジャブロー。ジャブローはアマゾン川地下の強固な岩盤の奥深くにあり、核攻撃にも耐えうる堅牢さを誇るが、広島型原爆の300万発分に相当するコロニー落下の爆撃を受ければひとたまりもない。連邦軍も本拠地を失ってしまえばもはや戦う気力も失せるだろうと、戦争の早期終結が目的として行われた作戦だった。
ジオンはまずサイド2の「アイランド・イフッシュ」というコロニーに毒ガスを注入し、全住民を虐殺。死体の詰まったコロニーを地球に向かって移送させる。
その間にコロニーを破壊しようとする連邦軍だったが、ミノフスキー粒子と未知の兵器ザクにことごとく阻止される。
こうしてコロニーは見事地球へ落下したものの、途中の戦いによりコロニーには亀裂が入っていた。そのため大気圏突入の際の衝撃によって、コロニーは大きく前後に割れ、さらに後方部も3つに分かれ、前部はオーストラリアのシドニーに、後部の2つは北アメリカに、1つは太平洋にと、ジャブローに落とすべく行われたこの作戦は失敗に終わってしまう。(オープニングのナレーションベースの映像で、この時シドニーに落ちたコロニーの様子が見れる)
しかし、当然ながら地球には有史以来最大の甚大な被害を与え、オーストラリア大陸は1/3、北アメリカ大陸は1/4が壊滅。2次被害を合わせると、23億人以上の命が奪われた。
開戦の1月3日から、コロニーが落とされた1月10日までを「一週間戦争」と呼ぶ。
<ルウム戦役>
ジャブロー壊滅という目的が達せられなかったブリティッシュ作戦。ギレンは周りの反対を顧みず第2次ブリティッシュ作戦を発動する。
今度の目標はサイド5、通称ルウム。ルウムのコロニーをまた地球に落とそうと艦隊を派遣した。
一方、地球連邦軍は1週間戦争の痛手により、すっかり及び腰になってしまっていたが、その中で唯一主戦論を掲げていた連邦将校レビル中将は、密かに艦隊をまとめ、コロニー降下作戦を阻止するべくサイド5へ進攻。レビル艦隊が到着後即戦いとなり、ジオンはコロニーの移送を断念。転じて艦隊戦に突入する。
宇宙世紀79年1月15日、このサイド5で行われた人類史上初の宇宙艦隊戦を「ルウム戦役」と呼ぶ。
連邦軍はジオン軍の3倍という兵力だったが、この戦いもMSを使う新戦術を用いたジオン公国の圧倒的勝利に終わり、あまつさえ、レビル中将はジオンの捕虜とされる憂き目に遭う。(レビルを捕獲したのがあのジェットストリーム・アタックで名高い、黒い三連星)
ちなみに、当時中尉だったシャアは、この戦いで連邦戦艦5隻を沈めた功績から少佐に昇進し「赤い彗星」の異名を得る事になる。
<南極条約>
ブリティッシュ作戦は、第1次も2次も本来の意味では成功しなかったが、MSを用いた画期的な戦闘スタイルとその大戦果は、連邦軍の戦意を挫くのに十分な効果があった。
そういった意味で、戦争の早期終結を計ったギレンの作戦は見事に成功し、その勢いを駆って、ジオンは連邦に事実上の降伏勧告に等しい和平条約を突きつける。
この会談は南極にて、双方の交渉団がまみえて行われたが、戦況的に有利なジオン側は終始高圧的な態度で臨み、連邦側もこれだけの敗戦が続いている状況下ではそれもやむなしといったところで、連邦軍の解体なども含む理不尽な要求も、飲まざるを得ないといった状況だった。
しかし、ここでその会談の席に、双方にとって予期しないニュースが舞い込んだ。ルウム戦役でジオンの捕虜となったレビル中将が脱走に成功したとの事。その上、ジオンの内情を見たレビル自身の口から、ジオンには連邦が考えている程の兵力は無いと、宇宙から全地球圏に向けて放送されたのだ。(「ジオンに兵無し」で知られる有名な演説)
連邦の屋台骨だったレビルの帰還と、その内容に、連邦は完全に息を吹き返し、本来30倍の国力がある側の当然の態度でもって、ジオンの要求をはねのけた。
そして交渉は決裂し、結局戦争は継続する事に。
結果、「生物・化学・核兵器の使用禁止」「捕虜に関する取り決め」「木星エネルギー船団や中立地帯への攻撃禁止」などが決められただけの会談に終わる。
ジオン側にしてみれば終戦条約を結ぶつもりが、単なる戦時条約を決めただけに留まってしまった。
これが宇宙世紀79年1月31日に結ばれた「南極条約」である。
<地球侵攻作戦>
南極条約締結によって、短期決戦を見越していたジオンの思惑は覆され、長期戦の様相を見せる。
そうなると物資も人員も連邦に比べるべくもないコロニー国家であるジオンには、当然不利な状況になるのは必至だ。そこでジオンはついに「地球侵攻作戦」に出る。地球の連邦軍の拠点を次々に占領、もしくは破壊。資源を徴収しながら戦うという戦略にでた。しかし、局地的な成功を次々治めるも、やはり地球は広く、地球全土を制圧する事は難しかった。
<V作戦とビンソン計画>
その間に連邦の方も着々と反撃の兆しを見せていく。
ようやくこの戦いにおいて、MSの重要性に気付いた連邦は、捕獲したザクの研究をベースに、独自のMSとその運用艦を開発するといった「V作戦」と、それに絡め、一週間戦争やルウム戦役で失った戦艦を大量に建造していくといった「ビンソン計画」に着手。
ジオンが表向き地球を制圧していくかに見える状況で、水面下では本来の物量的な優位面を駆使し、長期戦になるのをこれ幸いと、その二つの計画に従事していった。
そんなこんなで、戦争が膠着状態に入り8ヶ月余りが過ぎた宇宙世紀79年9月18日「V作戦」を察知したシャア少佐が、サイド7に偵察に入るところからこの物語は始まる。(な、な、な、長かった~~~~!!)
ご拝読、誠にありがとうございました。