昨日の深夜3時、いつものように散歩に行こうと準備を始めました。
まだまだ札幌の夜は寒いです。
しっかり着込もうとクローゼットから服を取り出しているときにふと思いました。
「……中に入ってみようかな」
なぜだか無性にそんな想いにかられました。
約10秒ほどクローゼットを見つめ、次にはもうかけてある服をはずしていました。
床にもいろいろ置いてあったのですが、「まあちょっとだからいいだろう」ということで服だけを吐き出したクローゼットに入り、なんとか扉を閉めました。
狭くて暗いクローゼット。
わずかな隙間から光が入り、ほんのちょっぴり部屋の中が覗けました。
「恐ろしい殺人鬼に追いかけられてクローゼットに身を隠している美女は、この景色を見ながら震えているんだろうな」
とか
「浮気をしている最中に相手の旦那が帰ってきて、とりあえずクローゼットに押し込められたプレイボーイは、冷や汗をかきながらこの隙間から様子をうかがうんだろうか」
とか、ガキのころには思いもしなかった妄想も楽しめました。
ずいぶん満喫して、そろそろ出ようかなと思ったその時、あることに気づきました。
「あれ?扉に取っ手がない……」
軽くパニック。
扉が開かない。
「どうやって扉を閉めた?もちろん出る時のこと考えて入ったんだよな?俺!」
狭いクローゼットの中、なまら焦りながら扉を開けようとしますが開きません。
どのくらい時間が経ったでしょうか。もう半ばあきらめて、ものすごく狭いスペースに座り込みました。
「床も片付けときゃよかった」と思いつつ眠りについた33歳のバカ。電気つけっぱなしだけど、まあいいや。どうしようもない。
無理な体勢でかたまった体の痛みで目が覚めると、やっぱりまだクローゼットの中。
ガッカリしながらも、もう一度扉を開けてみようとなんとか立ち上がった瞬間、床に転がっていたコーヒーメーカーの箱を踏んでしまいました。
バランスを崩した体はそのまま扉に激突。鈍い痛みが右半身に走る。
しかし!その衝撃で扉がちょっと開いた!
これはチャンス!
扉に触れないようにゆっくりとバランスを取り戻しながら、コーヒーメーカーの箱もベッコベコにしながらちょっと開いた隙間に手をかける。
開いた!!!
あれほど蛍光灯の光がきれいに見えたことはありません。
半べそになりながら時計を見ると8時30分。
およそ5時間クローゼットの中で過ごした33歳独身男の朝。
ん~、すがすがしい。
……みなさん、クローゼットの中に入るときはしっかり扉の仕組みを確認してから入りましょう。(笑)
あ~、出られて良かった。