とても分厚いテレビです。
薄型テレビ時代の幕開け直前に、自分へのご褒美として買ったsonyのベガエンジン搭載32型平面ブラウン菅。もちろんBS/CSチューナー付。
それ以前は18歳で独り暮らしを始めた時に買ってもらった14型のテレビ。電器屋さんに行けば『独り暮らし3点セット』として小さな冷蔵庫、そこそこの洗濯機とともに売っていた代物。
10年付き合った14型テレビ。プレステ、プレステ2の画像、ありとあらゆるテレビ番組や映画、さらに2割増しの回数は映したであろうアダルティな女体の映像。
その映像が32型平面ブラウン管に引き継がれて大画面で見た時は、自分が世界で唯一無二の特別な存在になった気持ちだった。大人になった自分を実感させてくれた物の一つだった。
それが今では、時代遅れのテレビとしての存在感が増しつつある。
いや、まだ大丈夫か。まだまだ皆さんの家には普通にあるでしょう。
しかし、あと数年もすれば、地上デジタル放送を受信しないコレはただの巨大なテレビモニターにしかならない。
持ち上げようとしても独りでは持てない。確か70キロあるはず。テレビ台に置かれて動くことを許されない巨大な塊は、大きな図体で今か今かといずれ来たる日に怯えているようにも見える。
映る画はこんなにも美しいのに…。
実は最近テレビを新しくしようと考えていたけれど、ジッとテレビを見つめて文章を書いているうちに、まだ買い替えはやめようと思えた。