気付けば、隣に建っていたビルが跡形もなく消えていました。
高層とは言わないまでもビルやマンションの立ち並ぶ場所に住んでいると、窓からの景色や近所の風景はいつのまにか殺風景な壁の印象ばかりが目に焼き付き、北海道の広い大地といえども都会の冷たさを感じざるをえないものです。
旭川で過ごした幼少の頃の景色は良かった。
高校を卒業してからは別の地域に実家が引越し、もうあの頃に見ていた窓からの景色は帰ってこない。
草ボウボウの空き地の向こうに小さな川があり、そこにかかる橋の上を時たま車が通り過ぎ、学生服やセーラー服を着た人やスーツ姿、近所の爺さん婆さん、子供を連れたお母さん、歩いていたり自転車に乗っていたり。朝日や夕日に照らされたり、青々とした緑の中だったり真っ白な凍てつく寒さの中だったり。
暇さえあれば窓から外を眺めていたかもしれません。好きだったな。
隣のビルがなくなった今は、殺風景な壁も減り少しだけ景色が変わりました。
でもなんだか淋しいものですね。なくなってみると、なんだか物足りない。
今はまた、新しい壁が少しずつ背を高くしているようです。