今日とっても面白いメールが来た。
あの水曜どうでしょうのディレクター藤村忠寿君からだ。
実は私も彼の事をダイアリーに書こうと思っていたところだった。
なぜなら彼は先日のどうでしょうの日記に私が脚本を手がけた、ドラバラ鈴井の巣のドラマ『山田家の人々』の感想を熱く書いてくれたからだ。
どうやら彼は今更ながら偉くあのドラマに感動したようでそれが彼の名調子にのせて熱く語られていた。
私もここまで褒めて頂いたなら感謝の気持をこのダイアリーに綴らねばと思っていたのだ。
すると今日その藤村君から今度はメールが送られて来た。
どうやらあの日記では語り尽くせない思いを個人的に送って来たようだ。
彼の文章の冒頭はいつもの様に押し付けがましくこう始まっている。
「 どうも藤村でございます。 これからキミのことをホメまくるんだけど、ちょっと長くなるから文字数に制限があっ
たら途中で切れるかもしれんぞ。
じゃ、ホメるぞ。」
どうだこの押し付けがましく期待を持たせる書き出し。
『じゃ、ホメるぞ。』……
『ここをキャンプ地とする!』にも似た潔さを感じずにはいられないではないか。
私はどんだけ褒めてもらえるのかと読み進めた。
「 きのう日記にも書いたんだが、今さらだけど山田家は素晴らしいな。あれはいいぞ。一話ごとの組み立てがキミ、実に上手い。あれ、連続して見るとだなぁ、実にこうストーリー構成が巧みだということがよくわかる。この「巧みさ」を生み出しているのは、技術とか慣れとか勉強とか努力とか、そういうもんじゃなくて、「持って生まれた感性」によるものだな。人の心をつかむ、なんらかの感性だよ。その感性を持ち合わせている人間をキミ
「天才」と言うんだよ。」
どうだこの褒めよう!!
私はこの時ばかりは今までの彼への心無い言動を悔いた。彼の実母をろくろに乗せてくるくる回してテッカテカにしてやるなどと言った自分を恥じた。腐ったパイ生地を彼の子供達に家に押し入り食べさせようとした自分を恥じた。……この瞬間は。
彼はこの後おせっかいにも私の今後について丁寧に、そしてさらに押し付けがましく
語り始めた。
「いいかい、キミにねぇ、努力とか勉強はいらないんだよ。天才が浅はかな知識を口にしたとたん凡人に成り下がる。天才は余計なこと考えるなよ。そもそも脳ミソがスズムシなんだから考えるのは無理なんだ。」
どうだろう諸君これは私を褒めているだろうか?
彼の最初の書き出しを思い出して欲しい。
「これからキミのことをホメまくるんだけど、ちょっと長くなるから文字数に制限があったら途中で切れるかもしれんぞ。
じゃ、ホメるぞ。」
こう書いた男の同じ文章に含まれたこの一節。
『そもそも脳ミソがスズムシなんだから考えるのは無理なんだ。』
彼はやっぱりおかしい。しかも彼は更にこう続けて行く。
「普通はブロードウェイに行ったら「勉強」や「刺激」になるのかもしれんが、キミには余計な知識がスズムシ大の脳みそに無理やり詰め込まれるだけだ。んなのは何の勉強にもならん。」
……意味が分からない。どういうつもりで書いてるんだ。彼はその後にこう続けた。
「いいか、キミをバカだって言ってんじゃないんだぞ。」
……そうとしかとれない……。
私がこのメールは何なんだろうと困惑してるうち彼はこんな言葉で自らの文章を締めくくった。
「まだまだ言いたいことはたくさんあるが、こっちも仕事があるんで今日はこのぐらいにしとこう。
いいか、最後にひとつ言っとくぞ。ずいぶんわかったようなことを書いたが、それはキミ……
おれも天才だからわかるんだよぉ~ぶははははははは!」
どうだろうか皆さん…。
最後は自分が天才なんだと高らかに歌いあげ『ぶははははははは!』と笑って終わりである。
『ぶははははははは!』と……。
彼には子供が3人も居るのです。
そんな男の書く文章だろうか。
さらに最後に
「じゃ、今年もロケ行くからよろしくぅ~ぶははははははは!」
うるさい。
全く面白い男である。そんな暇があったらもっとましな企画を考えろ!!
行ってからの事を詰めとけ!!
現地に行って企画を変えるな!!
ロケハンをしろ!!
ロケハンしたところに連れてけ!!
ロケハンしちゃって見ちゃったからもういいわ…じゃないんだよ!!
だからといって牛追い祭りに連れてけって言ってる訳じゃ無いんだけども!!
あぁもう彼には幾ら言っても伝わらないのだ…。
まぁしかし彼には忙しい最中このような、お門違いではあったにせよ、嬉しいメールをくれて感謝している。
この場を借りてお礼しておこう。
ゲンゴロウ並みの~君の頭でも山田家の人々の良さがわかってもらえて嬉しいよ。
これからもゲンゴロウらしい面白い番組を作ってくれ~!!
ん~ものすごく長くなった明日も早いお休み。