先程、香川公演を終えて札幌の自宅に戻りました。
四国は物凄く暑い日々でしたが、千歳に降り立った時の第一声は
「おや、変わらんなぁ!」
いつもは気温の違いに、我が故郷を時に誇らしく、時にはうらめしくも思うのですが。
ここ何日かの北海道は珍しく蒸し暑く、最高気温は本州と同じくらいでした。
しかし香川ではホテルでも街中でも水不足と書かれており、
渇水を訴えるスピーカー車まで見かけました。
川の水はすっかり干上がっていて、見た事無い景色でした。
一日も早く、ご心配がなくなりますよう心よりお祈りします。
さて。
こうもりの話ですが。
間違いなく、この全国公演中最大のハプニングになったと思います。
詳しい内容は大泉が書いたとおりです。
予測できないハプニングに、私も悔しくて悔しくて・・・。
笑われてしまった事。
芝居が止まった事。
そのシーンで伝えたかった事が伝えきれたのかどうか?
思いはそれぞれでしたが、やはり悔しかった。
さらに翌日も公演がありますので、
その対処はたいへん難航しました。
こうもりは夜行性で昼は姿を現さず、
また超音波を出して障害物を避け、
しかも保護動物のため、捕獲する事はできません。
公演二日目には県の専門家を劇場に呼び、
関係者も一緒に懐中電灯で照らして、広い会場中をずっと探しました。
しかし上演前は恐らく眠っているのか、どこを探しても、昨日と同じ状況を何度も作っても、
現れて欲しい時に現れてはくれませんでした。
札幌・東京在中スタッフは先輩劇団方に対処法を伺ってくれました。
しかし長くやっている劇団でも前例の無い事でした。
苦渋の決断も視野に入れながら全員で話し合い、
「こうもりが現れるかも知れない舞台」
を上演する事になりました。
開演前に私が舞台に出て、お知らせをしました。
「こうもりが現れても、役者は芝居に集中して最後までステージにつとめます。
お客様もどうか、芝居を、お楽しみ下さい。」
こうもりがこの会場に居る、という事をお伝えして失笑をもらいました。
それは仕方ないです。
なんだか、こうもりがいるってのはちょっと面白い状況に聞こえますよね。
ただ、こうもりがシーンを無視して出現した時に失笑されるよりはよっぽど良い。
芝居って、光を浴びる場所も浴びない場所も、
舞台裏まで、結構いくつも緻密な計算が重なって、
各員その通りに動かないとごたごたになっちゃうんです。
でもこうもりはお構いなし。
勝手に光の中にゆらゆらと現れます。
COMPOSERは後半、めちゃめちゃシリアスになります。
「出るなら前半のうちに出ろ・・・・。」
「出ないなら最後まで出るな・・・・。」
そんな念をこめながら、
こうもりが出てもお客さんが舞台に集中してくれるように、
まずは演者がいつも以上に集中して舞台が始まりました。
当たり前の事ですが、
演劇は役者とスタッフ、そしてお客さんとで成り立ちます。
どこの集中が途切れても成り立ちません。
お客さんの気持ちを2時間舞台に向けさせるのが演劇ですので、
そのために脚本も演出も役者も身を削る思いで作ってきたんです。
やはりそれを邪魔するのは許せません。
こうもりでも、携帯電話でも、私語でも。
結果。
こうもりは出ませんでした。
どこに行ったのか、今でも分かりません。
終わってしまえば、私の前説など必要なかった。
お客さんに不要な心配をかけてしまった、という事にもなりました。
ただ、私達にとって再確認できた事が大きかった。
関係者が一丸となった事、客席を巻き込んで芝居を終えた事。
舞台の裏に、何十人ものスタッフの気持ちがあった事。
一羽の小さなこうもりに一喜一憂した日は過ぎましたが、
恐らくこの先忘れない事ですし、演劇界でも噂になるのでしょう。
でも、決して笑い話にはなり得ないでしょう。
予測できなかった事を予測できる事に変えること、
それが進歩なんだなとも思います。
残り少なくなった全国公演のスケジュールを眺めながら、
スタッフの思い、お客さんの思いに応えられるチームでありたいなと思いました。
長い文章で失礼しました。
福岡、新潟の皆さん、
もうすぐCOMPOSERをもって伺います!
楽しみにしててくださいね!
北海道の皆さんも。
凱旋公演、わずかな日程しか用意できず我々も残念です。
でもまた会えるさ!会おう!!
・・・・・・
あ、あ、
しゃちょう、おかえりなさい・・・・・・。
おみやげ、僕ちゃんと買ってきました!
うどんです!!