記憶喪失の男の話が書きたかったんです。
だから「失ってしまうヤツ」と言う意味で、「loser」。
ところが私のスペルミスで、できあがった広告物にはすべて「looser」と表記されていました。あれあれ??
調べてみたら、
「だらしないヤツ」
えええええええええ
だ、だ、大ピンチでした!!
初めての東京公演も視野に入れてたくさんチラシ印刷したし、いまさら後に引けなくなっちまいました。
とんでもなく自分を責めました。
「なんだよlooserって!英語もっと勉強しとけよオレ!」
「オレじゃんよ、だらしないヤツ!!」
でもこれが転機で。
仕方なく「だらしないヤツ」を描き出したときに、
規律のとれた集団、例えば危険思想と言われながらも、後の世で英雄となるような存在。
そんな集団を探して、現代劇ではなく、当時大の苦手だった時代ものに手をつけることになって行ったのです。
京都守護職「新撰組」。
だらしのない自分が、そんな集団にいきなり入ってしまったらどうなるんだろ。
これが着想の第一歩目でした。
時代劇嫌いが作った時代劇なので、今見ると説明過多だったり、ちょいちょい恥ずかしいシーンがあります。全部わたしのせいです。
でも誰が誰と戦っているか分からないと、楽しめないのが時代劇だと思っていたので、
それぞれ立場の異なる正義を書きました。
だから悪者がひとりもいない時代劇です。
思えばこのときから。
「国を守る!」という大きなキーワードができて、
以来ずっとそんな舞台を作ってきました。
それから18年。
Looser2022はなんというか、今まで見たことないです。
映像なんだけど、どこまでも舞台に近い、映像。
そんなプチ奇跡みたいな作品ができました。
木村監督ありがとうございます。すごいです。
明日、よかったら見てください。
皆さんに見て欲しいです。
堅苦しくなくて、平凡な年配者の悩みをテーマにして、誰にでも見やすい作品だと思います。
でもおれは。
いまも世界のニュースを見ながら、もしこれが日本だったら?と考えずにはいられません。
どちらの立場でも、自分はその時どうするんだろ。
それこそ18年前から考えていたことが、今でも答えが見つかっていないのかよと自分を嘆くことでもあります。
2004年の若き自分たちからもらうメッセージが重たいです(笑)
負けられねぇーーー!!