昨年は大変お世話になりました!
2019年もよろしくお願い申し上げます。
わたくし戸澤は1月19日から始まる舞台
「丸福ボンバーズブースト『結婚のススメ~NO SURPRISE,NO LIFE!~』の稽古期間中でして、東京に滞在しております。
現在はお正月休みということで、北海道に一旦帰ってきて、母の作る茶碗蒸しを食べ、柴犬のごん太と戯れ、だらしなく寝そべる妹を見て、思い耽る正月であります。
3つ下の妹は昔、とても内向的で、人見知りで、誰とも話せない女の子だった。
それでいて並々ならぬ運動神経の持ち主であった。
幼稚園にあがる前から、誰に教わるでもなく、逆立ちやら側転やら余裕綽々でこなし、公園のうんていは軽々しく何回も往復するし鉄棒で逆上がりはもちろん、大車輪(どんな技か検索してみてください)などをバンバン繰り出していた。
一方、誰とでも話せて外交的ではあるが、小学校にあがっても逆立ちも逆上がりもできない超絶運動神経が悪い兄の私は、家で絵を描いてひっそり生きていた。
対照的な、まるで真逆の兄妹であった。
妹の人見知りぶりは小学校に入学しても相変わらずであり、クラスに馴染めないのか、4年生である僕の教室に泣きながら通う毎日で、
足がめちゃくちゃ速く運動会でリレーの選手に抜擢されるも、
「目立って恥ずかしいから」という理由で、選考の際にわざと遅く走って、自らリレーの選手を辞退するというほどであった。
「なんだよそれ…羨ましいわぁ…」
とクラスで一番足の遅い兄は妬みながらも誇らしく思っていた。
さらに妹はいつも突拍子もない謎の行動力を発揮していた。
兄が大学時代、いつもどおりコンビニの深夜バイトに出勤しようとお店に入ったら、「いらっしゃいませー」と何故か妹が働いてることがあったり、
通っていた専門学校を急に辞めると言い出し、知内町にある祖父の家に住みスローライフを送ったり、
なんの前触れもなく柴犬を「5万だった」と抱き抱えて帰ってきたり、もうわけがわからない妹だった。
あれからだいぶ経った。
ついこのあいだのような気がするが、もう何年も経っている。
正月、妹が実家に帰ってきた。
そんな妹はもう結婚して、まもなく妊娠10ヶ月を迎える。
いつのまにか大人になっていた。
もう人見知りで恥ずかしがり屋の妹ではない。
お腹の大きくなった妹をみて、あの時の妹はもういないのかと感慨深くなった。
ここ数年アウトドアにはまってる妹が
「新しい(水上)ジェット買ったさ」
と無表情に話しかけてきた。
「やっぱり相変わらずだな…」
と、妹と一緒に帰ってきた柴犬に手を噛まれながら
兄は思うのであった。